今年は時間がたつのが早かった。
あと2ヶ月、インフルにもコロナにも感染しないよう頑張りましょ!
🍓皆さんには覚えておいてほしいことがあります。
医療従事者の多くは次のように考えている方が多いです。
慢性関節リウマチは炎症性ですが、変形性関節症は非炎症性だと。
いわゆるリウマチは全身に炎症が起こる病気ですので血液検査でも触診でも簡単に炎症を見つけることができます。
ところが、変形性関節症では関節という局所に炎症が起こるので、検査では炎症が見つかりにくく炎症性の病気ではないと考えられるのです。
膝関節に炎症が起こると、その炎症を冷やすために関節に水が溜まりますが、変形性股関節症でもMRIの結果水が溜まっている方はいます。
股関節に熱感を感じる方もいます。
炎症の症状は発赤・腫脹・発熱・疼痛・機能障害ですが、股関節は深部にあるため発赤・腫脹・発熱(熱感)が見つけにくい関節であることも変形性股関節症が炎症性の疾患だと理解されにくい理由でしょう。
2017年に信州大学医学部麻酔蘇生学教室の石田高志先生らが書かれた『関節炎による痛みのメカニズムと薬物療法の最新の進歩』(日本ペインクリニック学会誌 Vol.25 NO,2 2018)という論文には関節炎のメカニズムが書かれています。
その論文の中には次のような内容が書かれています。
『変形性関節症をはじめとする関節炎の患者数は国内で1000万人と、慢性疼痛患者の20%を占め、痛みの有訴者率も高い。』
ね、研究論文では当たり前のよう変形性関節症が関節炎だと書かれているでしょ!
また、この論文には次の様にも書かれています。
『関節炎では、滑膜線維芽細胞や軟骨細胞からのIL-1やTNF-αをはじめとする各種炎症性サイトカインの放出が起こり、軟骨の変性や骨増殖が起こる。炎症は関節内のみにとどまらず、関節周囲組織にも広範囲に波及する。』
私も同様に考えていますが、この短い文章には非常に重要なことが書かれています。
この文章を変形性股関節症に合わせてわかりやすく説明すると、次のようになります。
『変形性股関節症などの関節炎では、炎症が起きた時に関節包の内側のある滑膜線維芽細胞や軟骨細胞から各種の炎症性サイトカインと呼ばれる炎症が起こった時に分泌される炎症性物質が出ることによって、軟骨の変性や骨の増殖、つまり変形が起こります。
その炎症は股関節内のみにとどまらず、関節周囲の靭帯や筋肉といった周囲組織にも広がります。』
という意味になります。
この内容は、変形が治ることにも非常に関連しています。
私は、痛みと聞くとまずは 痛み=炎症 とすぐに結び付けて考えます。
皆さんもそうではないでしょうか?
例えば、私達が足首を捻挫した時の状態は想像しやすいでしょう。
捻挫に伴って足首が赤く腫れて熱を持ち激痛が襲い歩けなくなります。
この症状を炎症と呼びます。
この炎症は、1ヶ月もすればかなり改善し、やがて治ります。
炎症は人が受けたダメージを治すために現れる自己治癒力なので、時間と共に治ります。
従って、変形性股関節症は治る病気なのです。
・・・こんな感じでね。
この図の前半だけ見て下さい。
進行性の病気に見えるでしょ?
でも、でも、でも~ね、この図には後半があるのです! 後半があ・る・の・で・す!