筋筋膜症候群の治し方
A、筋肉のストレッチ
『臨床医のための痛みのメカニズム』という本に書かれている筋筋膜症候群の治療法は次のとおりです。
A、トリガーポイントに局所麻酔薬を注射する(トリガーポイント注射)
B、筋肉の牽引(筋肉の間接ストレッチ)
C、トリガーポイントの指圧(筋肉の直接ストレッチ)
Aは病院の先生にしかできない治療法です。
当院が行っているのはBとCになりますが、主にはCになります。
おおまかにいうと、硬く縮んだ筋肉のストレッチです。
筋肉のストレッチには、一般的に行われている間接ストレッチ法と深圧や指圧の様な直接ストレッチ法があります。
筋筋膜症候群では、筋肉の一部に筋肉のしこり(筋硬結:きんこうけつ)ができて筋肉の長さが縮むことが知られていますが、しこりが筋肉の一部に限局するため一般的なストレッチ(間接ストレッチ法)では筋肉の正常な部分だけが伸ばされ肝心の一部に限局したしこりがストレッチされない可能性があります。
一方、当院が行っている深圧のような直接ストレッチ法では、しこりを触診してしこりを直接ほぐせるので、筋肉を緩めるには効果的なストレッチ法(直接ストレッチ法)になります。
この図のように、筋肉の一部にしこりができると筋肉は硬くなって筋肉の両端の距離が縮みます。
股関節周囲の22本の筋肉の両端は股関節をまたいでくっついていますので、その筋肉が縮むということは22本のいずれかの筋肉が大腿骨を強烈に骨盤に向かって引き上げることになり、結果的として股関節の隙間を狭くしようとする作用が働きます。
この股関節の隙間を狭くしようとする作用は、股関節の軟骨に強い圧迫を加えるので、軟骨細胞が減ってしまう軟骨軟化症の原因となることが考えられます。
このように、股関節痛改善の為だけでなく股関節の軟骨の保護のためにも縮んでしまった筋肉はストレッチにて伸ばさなければならないのです。
筋肉が病気になって縮むことで股関節痛が出るのですから、股関節痛を改善するには筋肉をストレッチして伸ばして緩めればいいのです。
一方、筋トレとは筋肉を縮める動作の繰り返しによって筋力をつけようとする運動になります。
筋肉が筋筋膜症候群によって縮むことで股関節痛が出ている筋肉に対して、さらに筋肉を縮ませようとする筋トレを行う事は股関節痛を悪化させ、軟骨の細胞を減少させてしまう可能性が高まるのです。