まだまだ骨の話が続きますよ。
🍓骨に穴があくことがあります。
骨嚢胞(こつのうほう)と呼ばれます。
この骨嚢胞がある状態を骨嚢腫(こつのうしゅ)と呼ぶことがありますが、変形性股関節症では、一般的にかなり悪いことだととらえられています。
「骨に穴ができましたね。変形が進んだ証拠です。」
「骨の穴がつぶれるから、体重をかけないようにしましょう。穴がつぶれたら大変です。」
このような説明を受けることが一般的だと思います。
私は、多くの整形外科の先生方と接してきて、『骨にできた穴はつぶれることはありません。』と説明する先生方と一緒に仕事をしてきました。
従って、穴がつぶれるという発想は無かったのですが、まだまだ「骨の中の穴がつぶれたら大変です。」と説明する先生は多いと感じています。
ネットなどで骨嚢腫(単発性骨嚢腫)について調べると、『単発性骨嚢腫はどの年齢でも生じますが、主に子どもや20歳までの若年層に発症が多く、また、男児に発症が多いです。骨嚢腫が生じても無症状で経過することもあり、正確な発症頻度はわかっていません。』という説明もあり、そんなに悪い印象のことは書かれていません。
ところが、変形性股関節症で起こる骨嚢胞になると、とたんに悪者として説明される事が多いように感じます。
レントゲン写真で骨嚢胞を見ると、穴の周りが白く写っていることがわかります。
白く写るということは骨密度が高くて骨が固くなっていることを示しますので、骨の中に穴はできるのですが、その穴は固い骨に守られてつぶれないようになっていることがわかります。
数年後のレントゲン写真では、かつてあった骨の穴が無くなっていることも多々見られます。
京都大学医学部整形外科の上尾先生達は、骨嚢胞は悪いものなのか、それとも私達の身体を守ろうとしているのかを明らかにするために理論的な解析を試みています。(臨床整形外科 1983.12月)
その文献の結語には次のように書かれています。
『形成された嚢胞は結果として骨頭の力学的強度を増し、生体防御反応のひとつであることが示唆された。』
この結語を分かりやすく説明すると、骨嚢胞は骨に加わる過度のストレスから骨を守るために骨の中に作られ、結果として骨の強度を増す身体の防御反応のひとつであるという意味です。
つまり、骨の中に穴があくということは、骨がつぶれやすくなるということではなく、その逆に骨がつぶれにくくなるように人間の身体に準備された自然治癒力のひとつであると言っているのです。
さらに驚くことに、変形が起こった大腿骨頭に加わる荷重ストレスは骨嚢胞の壁によって守られて、骨嚢胞は力学的に大腿骨頭の変形を防止していると考えらるのです。
この文献は今から30年以上も前の研究の報告になります。
30年以上も前ですよ!
びっくりでしょ?
骨にあいた穴が潰れることは0%ではないかもしれません。
ある股関節専門医は「整形外科医が一生のうち1人経験できるかどうかではないか?」と言っていました。
ほぼ0%に近い出来事を、普通に起こるかのように説明することは大きな問題です!
むしろ、「骨は絶対に潰れません。」と言い切ってよいレベルの話だと私は考えています。
レントゲン写真を見せられ、「足に体重をかけたら穴がつぶれますよ。」と言われたら患者はどう考えると思いますか?
骨の中の穴がつぶれないように足に体重をかけなくなるのではないでしょうか?
その結果、骨も筋肉も弱くなり、まるで進行するかのように変形性股関節症は悪化していくのです。
皆さんはどのように説明されましたか?
一般的に言われている、『骨嚢胞悪者説』なんて真っ赤な嘘で、むしろ『骨嚢胞正義の味方説』という感じなんですよ。
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変形性股関節症を怖がらないでね
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